文献管理ソフトウェア Mendeley の簡単な説明

(http://www.mendeley.com/how-it-works/ How It Works を訳しました)

文献のデータベースを作ろう

まず最初に行うことは、Mendeley Desktop に研究論文を取り込むことです。これは "Add Document" ボタンから手動でも行えます。また、既存の EndNote XML や RIS、BibTex ファイルを読み込むこともできます。

PDF ファイルを Mendeley Desktop にドラッグアンドドロップすると、文書の詳細を調べてキーワードや引用文献を抽出します。また、Cross-Ref の DOI コードや arXiv の ID、PubMed の詳細情報を自動で読み取ります。

こうして、研究論文のライブラリは直感的な手順で整えられていきます。文献ライブラリ全体を検索したり、著者や雑誌名、キーワード、あるいは自分で与えたタグによってフィルタリングすることができます。文献データベースへの素早いアクセスが可能になるのです。論文の中身やコンテクストから、ライブラリに欠けている論文を探して推奨することも、将来の予定にあります。

さらに Mendeley Desktop は、論文のファイル名を、あなたに分かりやすい名前に修正することができます。すべての論文ファイルの名前を、定められた一定のフォーマットに従って変更できます。例えば、"著者名 - タイトル.pdf" という具合です。また、フォルダ監視の機能もあります。所定のフォルダに置かれた新しいファイルを全て Mendeley Desktop が自動的に読み込むようにできます。

オンライン・アカウントを作ると、どのコンピュータからでもMendeley の文献ライブラリにアクセス可能になります。つまり、どの OS を使っていても、世界のどこにいても、簡単に自分の文献ライブラリに簡単にアクセスしてそれを操作できるのです。

PDF に注釈を付ける

内蔵した PDF ビュアーを使って PDF ファイルを開くことができます。フルスクリーンモードで読むことや、インクリメンタル検索機能によってタイプインした言葉を直ちに検索することができます。
マーカーペンツールを使って一部にハイライトを付けることや、付箋紙に思いついたことを書き留めることができます。
次のバージョン (v.1.0) では、これらの注釈をあなたの同僚と同期させて共有することができるようにします。つまり、研究プロジェクトで読む資料について、コメントを共有できるようになります。

こうして、全てを一箇所で見て管理することが可能になります。書誌データと PDF、それに PDF につけた注釈とハイライト、引用文献、検索可能な全文のテキスト、キーワード、そしてあなたがつけたタグもです。

ワードやオープンオフィスで使える参考文献リスト

ワード (現在 Windows のみ) と オープンオフィス (全プラットフォーム) 用のプラグインを利用して、自動的に参考文献リストを生成できます。スタイルは 100 種類以上あり、ほとんどの通常用いられるスタイルをカバーしています。例えば、以下のスタイルです。ACM、American Chemical Society (ACS)、American Medical Association (AMA)、 American Psychological Association (APA)、 Chicago Manual of Style、 Elsevier、 Harvard Reference Format、 IEEE、 Modern Language Association (MLA)、 National Library of Medicine、 Nature、 Public Library of Science (PLoS)、 Science

ワードやオープンオフィスプラグインの中で、"Insert Citation" をクリックしたら、Mendeley Desktop に所蔵の一つあるいは複数の (CTRL を押しながら選択) 文書を選び、"Send to Citation to Word/OpenOffice" をクリックすると、参照文献がドキュメントに挿入されます。最後に、"Insert Bibliography" をクリックして、希望の引用スタイルをドロップダウンリストから選びます。

文書を編集して引用文献を挿入することを、共同作業として行うこともできます。一番簡単なやり方は、関係する全部の文献を集めた共有のコレクションを作り、そこから引用するというものです。

あらゆるところから論文を集めよう。

Web importer をブラウザのツールバーにインストール (ドラッグアンドドロップ) しておくと、これを使っていつでも必要なときに、論文を蓄積することができます。デジタルライブラリーに論文を貯めるために、わざわざダウンロードしたコピーをさらに自分でアップロードしなくてもよいのです。

このボタンを一度クリックするだけで、Mendeley は自動的に文書の詳細を取り込み、書誌事項とそこで入手できる PDF ファイルとを取り込みます。これらの情報は全て、直接に Mendeley の文献ライブラリに蓄積されます。 (訳注: ログイン・パスワードが必要な PDF には、対応していない模様.)

この機能は、たくさんの論文を手早く集めなければいけないときに、とりわけ有用です。Mendeley Desktop は、全ての情報をオンラインの文献ライブラリに自動でバックアップするので、どこからでもアクセスして管理することができます。

以下のサービスから論文を取得することができます。
* ACM Portal
* Amazon
* APS
* APA PsycNET
* arXiv
* CiteseerX
* CiteULike
* Copac
* EBSCO
* Google BookSearch
* Google Scholar
* IACR ePrints
* IEEE Xplore
* Informaworld
* IngentaConnect
* ISI Web of Knowledge
* JSTOR
* NASA ADS
* Nature
* OpticsInfoBase
* PLoS
* PubMed
* RePEc
* ScienceDirect
* ScienceMag
* SpringerLink
* Wikipedia
* Wiley InterScience
* WorldCat
* Zetoc

ZoteroCiteULike と同期、EndNote や RefWorks からのインポート

Mendeley は、ZoteroCiteULike と全面的に統合されています。これらのブラウザアプリケーションのどちらかを既に使っているのであれば、Mendeley を設定して、時間と手間を節約しながら、これまで同様に ZoteroCiteULike にあらゆるドキュメントを取り込むことができます。この同期の仕組みも、全ての文献データを一箇所で管理することに役立ちます。

EndNote や RefWorks を使っている人は、EndNote の .XML フォーマットや RefWorks の .RIS フォーマットを利用すれば、Mendeley に簡単にインポートすることができます。

研究者同士のネットワーク作りに

Mendeley ユーザの全てが "research network" を作り上げます。同じような研究に興味を持っている人がどれほど多いことでしょうか。ネットワークを作り、アイデアや論文や経験を共有することができます。研究者検索をすれば、あなたの得意領域に関心のある他の研究者が自分の知り合いの中からも見つかることででしょう。また手始めに同じ領域で研究している同僚や友人を Mendeley に招待することもできます。

コラボレーションと共有、発見

友人あるいは研究グループを招待したら、共有コレクションツールが、情報共有を簡単にするプラットフォームとなります。興味のある論文をドラッグアンドドロップで共有コレクショにに移動して、あなたの仲間が共同でメモ付けをできるようにできます。

ネットワークはまた、研究論文の巨大なデータベースとなっています。その研究論文の多くは無料であり、簡単に効率的にライブラリに追加することができます。

仲間の研究者のライブラリにある論文は間違いなくあなたにも有用でしょう。こんな情報も、新しいトレンドを知り、自分の専門領域を極めるために、役立つことでしょう。

研究トレンドと統計の調査

Mendeley によって匿名化された研究トレンドの統計を発見し、集積することができます。あなたの研究領域において、最も注目されている著者や論文、論文誌やタグを確かめたり、自分の論文ライブラリについての統計的な情報を見つけることもできます。
一例を上げれば、特定の著者による論文の件数、もっともよく使われるタグ、ライブラリ内の論文件数。共著者数、引用している文献の数などです。自分がどの論文誌に投稿しているか、ということも確認できます。これらの統計を使って、現在の自分の研究の傾向や優先順位を概観することもできるでしょう。